概要

Wacom Ink Layer Language（WILL™）はクロスプラットフォームのデジタルインクテクノロジーです。これはエンドユーザーに利点の多いデジタルインクを実現しつつ、開発者が創造性豊かに高品質なデジタルインクアプリケーションを作成できるように設計されています。

WILL™ SDK for inkはさまざまな入力テクノロジーをサポートしており、最高の品質と最大の魅力を備えたデジタルインク出力を生成できるようになっています。また、iOS、Android、Windows UWPおよびウェブのプラットフォーム別パッケージも提供されています。

これらのプラットフォームパッケージを使用すると、ソフトウェアライブラリの全モジュールにプラットフォーム固有の言語バインディングを提供できるようになり、ホスティングプラットフォームとの緊密な統合が実現します。その他の統合については、パートナー契約を通じてご依頼いただければ対応いたします。

これらすべてのプラットフォームに対応するデジタルインク機能を最小限の労力で開発できると同時に、アプリのビジネスチャンスを最大限に高めることができるのが利点です。

WILL™ SDK for inkは、アプリの開発に必要となる重要な機能へのアクセスを提供します。

• インクジオメトリパイプラインと描画 - 入力デバイスからのセンサーデータをジオメトリに変換し、これをプラットフォーム固有の描画エンジンによって描画します。
• インクシリアル化 - 描画結果、収集されたセンサーデータ、および関連するメタデータをやり取りするため、Universal Ink Formatを使用して情報のシリアル化と非シリアル化を行います。
• インク操作 - 生成されたジオメトリを操作するため、インク操作の作業によってインクの（正確な分岐を含む）筆跡を倍率変更、移動、回転、および消去します。
  
  

WILL™ SDK for inkは、相互運用性の原則を基礎としてきました。このため、実際には次の4つの要素に重点を置いています。

インクの自然な描画

卓越したユーザー体験を提供するため、デジタルインクには自然な見た目や、実際のインクと同等の視覚表示が必要になります。WILLには、一貫した方法でインクを提供するために必要なすべての関連データが含まれているため、デジタルインクのビジュアル表示形式をプラットフォーム間で正確に共有することができます。

アクティブなインク機能

各種のコンテンツは使用するデバイス、アプリケーション、またはクラウドプラットフォームに応じてさまざまな方法で表示されます。そのため、WILLではそれに応じた多彩なインク表現をサポートしています。

メタデータとセマンティクス

デジタルインクのメタデータは、ドキュメントのタイプや作成者、インクドキュメント構造、知的財産の管理、および資源保護を含む変数を記述する際に必要です。WILL™ SDK for Inkは、これらの標準タイプのメタデータをすべてサポートしています。

メタデータはセマンティクスに使用されることも増えており、デジタルインクから意味を取り出せるようになっています。これは通常、デジタルインクを使用して書かれた単語を、作成時にウェブベースの関連情報に紐づけることを意味します。また、WILLはインクに対して独自のセマンティクスメタデータも定義しています。

センサーデータと筆跡情報

また、WILL™ SDK for inkの構成要素であるUniversal Ink Modelでは、デジタルペンからのセンサーデータの取得もサポートしています。たとえば、このようなデータには以下があります。

• 筆圧 - ペンの先端に掛かる力
• 傾斜 - 垂直方向に対するペンのバレルとの角度
  
• 向き - ペン先からペンの平面上の方向
  
• 回転 - サイン中のバレルの回転

WILLでは、他のデジタルインクテクノロジーとは異なり、データがデバイスによる提供順に正確に保存されます。つまり、データの精度がデバイスによって決定されるため、生データの形式から変換する際の劣化が発生しません。ペンのセンサーデータ以外にも、インクが作成された際の日時といったコンテキストデータがインクとともに収集および保存されます。

これは、デジタルインクを使用して作成された電子サインの真正性などを検証する必要がある場合に作成できます。